NHKを本年度内にも退局し、フリーアナウンサーに転身する意向が明らかになった大阪放送局の武田真一アナウンサー(55)が、27日放送の担当番組「ニュース きん5時」(金曜午後5時)に生出演した。報道後初の同番組出演で、退局について直接は言及しなかったが、アナウンサーとしての生き方について思いを語った。

序盤でニュースを伝えた後、武田アナが俳優草刈正雄(70)をインタビューしたVTRが放送された。草刈は自身の生き方について「俳優をやり続けるしかない。俳優は芝居をやっていないとダメ。お芝居の中に漬かって、ひたっておかないと、僕の場合は」などと語った。武田アナはVTR後のスタジオで「私もアナウンサーに向いてないんじゃないかな、と思うことも今でもあるんですけど、そんな時でもこの仕事をやり続けるしかないんだ…ひたる、とおっしゃってましたけど、漬かる。その言葉には、目の覚めるような思いでした」と、インタビューを振り返りながら、アナウンサー業への思いを語った。

武田アナは熊本県出身で90年入局。午後7時の「ニュース7」キャスターを9年間務めた後に「クローズアップ現代+」も担当するなどNHKを代表するアナウンサーの1人で、選挙特番や大型番組でも常連だった。紅白歌合戦で総合司会も務めた。21年4月に大阪放送局に異動。同年3月の「クローズアップ現代+」ラスト出演では、感情を高ぶらせた様子で、「あとは、若いキャスターに引き継ぎたいと思います。クローズアップ現代+は、これからもひるまず、伝え続けていきます」と強い口調で語りかけたことでも話題になった。

武田アナの異動についてNHKは当時、脱東京一極集中のための発信力強化などを理由にあげていた。