金沢市の金沢東急ホテルで28、29日に指された第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の第3局。現地で戦況を見守った森下卓九段(56)が、以前からよく知る羽生善治九段(52)と藤井聡太王将(20)について、思いを語った。藤井王将については「(幼い頃は)よく泣く少年だなという印象しかなかったが、一日ごとに強くなった。今、パーフェクトに最も近いんじゃないか」と感慨深げだった。
森下九段は1998年の第48期王将戦で羽生九段に挑戦し、1勝4敗で敗れた。第1局は62手の短手数で制したが、「あとはきっちり負かされました。技量や勝つことへの執念、どちらも羽生さんが上だと思い知らされました」と頭をかく。
その羽生九段の最近の好調ぶりについて「2021年度の負け越しはびっくりしました。羽生さんが変化したというより、周りがすごく強くなりました。内藤国雄先生が『将棋は勝てば強くなる。負ければ弱くなる』と言いましたが全くその通りで、羽生さんも負けが増えると自信が揺らいでしまう悪循環に陥りましたが、王将リーグ6連勝で一気に払拭(ふっしょく)しました。渡辺明名人をはじめ、大強豪ぞろいのリーグで6連勝とは、さすがは『天下の羽生善治』だと思いました」と驚嘆した。
一方、藤井王将が幼少期の時代に負けて泣いているのを慰めたことがあるという森下九段。「よく泣く少年だなという印象しかありませんでした。その後、師匠と東京に修行に来たことがあり、その時は、中盤から終盤の力では劣っているとは思えなかったが、序盤に課題を感じました。藤井さんはAI(人工知能)とともに序盤研究にも打ち込んで強くなり、中終盤をさらに磨いて一日ごとに強くなっています。先輩方と比べてもパーフェクトに最も近い気がします」
その一方で、「藤井さんを超える棋士も必ず出てくる」とも。「羽生さんを超える人も必ず出ると思っていました。25~30年で次の時代の王者が現れているので、藤井さんが40歳になった時に、途方もない大天才が現れているのではないでしょうか」と大胆予想を披露した。
今期七番勝負には、「20代の羽生さんなら激戦必至だったが、52歳の羽生さんが20歳の藤井さんに挑むのは正直すごくきついと思います。それでも、第2局の将棋は見事でした。第1局は△5八桂成と指さずに▲6七金右とされ、取れたはずの金に逃げられて勝負が決定的になりました。どこかで藤井さんの強さを意識してしまったのではないか。藤井さんの存在を忘れて、無心で羽生将棋を見せてもらいたい」と期待した。【丸山進】
from エンタメ - 最新 - Google ニュース https://ift.tt/j2WxuPt
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "王将戦2勝の藤井 「負けて泣く少年、今は最も完璧に近い」森下九段 - 毎日新聞"
Post a Comment