日本の現代音楽界をリードし、独自の作風で知られた文化勲章受章者で作曲家の一柳慧(いちやなぎ・とし)さんが7日、死去した。89歳だった。告別式は近親者で行う。
兵庫県出身。10代で日本音楽コンクールで1位になった後、米ジュリアード音楽院で作曲を学んだ。1950年代後半にニューヨークで「不確定性の音楽」を提唱した作曲家ジョン・ケージさんと出会い、その影響を受けた作品を次々と発表、注目された。61年に帰国後、図形楽譜などを用いた斬新な作風で大きな反響を呼び、前衛音楽の旗手としての地位を確立した。
70年代以降はミニマル・ミュージック(反復音楽)の手法も取り入れつつ、時間と空間を意識した重層的な音楽表現を新たに開拓。近年も2020年に交響曲第11番を発表するなど精力的な活動を続け、25日に読売日本交響楽団で初演される最新作「バイオリンと三味線のための二重協奏曲」を完成させたばかりだった。
代表作に「ライフ・ミュージック」「ピアノ・メディア」、11曲の交響曲、6曲のピアノ協奏曲、オペラ「光」「愛の白夜」など。神奈川芸術文化財団芸術総監督を長く務め、18年に文化勲章を受章した。
1950年代後半から一時期、芸術家のオノ・ヨーコさんと結婚していた。
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