発売から約6年が経過するトヨタのコンパクトミニバン、シエンタ。次期型がどうなるのか、情報がなかなか出てこない。
そして2020年12月1日に、ホームページ上で発表された、プリウスαの2021年3月末生産終了と、ポルテ/スペイドの2020年12月上旬生産終了のアナウンス。
そこで、次期シエンタと、プリウスα、ポルテ/スペイドの次期型はあるのか? 流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、今わかっているすべての情報をお伝えする。
文/遠藤徹
写真/ベストカーweb編集部 トヨタ ホンダ
【画像ギャラリー】これで見納め! 現行シエンタと生産終了決定のプリウスα ポルテ/スペイド
次期シエンタは2022年中盤デビューが濃厚
次期型シエンタの開発プロジェクトは現在動いてはいるが、2021年のニューモデル投入スケジュールには組み込まれていないようだ。今のところ、シエンタのフルモデルチェンジは2022年中盤あたりが濃厚になっている。
現行モデルの登場は2015年7月、普通に考えれば6年が経過する2021年中盤にフルモデルチェンジするのがグッドタイミングといえる。
しかしながら2021年はランドクルーザーをはじめノア、86、アクア、カローラクロスなど5車種もの世代交代、ニューカマーの投入が予定されているので、戦略的には先送りすべきとの見方が強い。
もし2021年に次期型シエンタを投入するなら、次の2022年が手薄になり、ニューモデル戦線にばらつきが生じ、得策ではないということから、2022年中盤あたりになる予定。
次期型の商品内容がどうなるかはまだ販売店筋にはアウトラインすら伝わっていない。
現行シエンタの外観デザインは、ヘッドライト回りやボディサイド、リアのハッチゲート回りに取り付けられたブラックのガーニッシュが個性的で好き嫌いがわかれるデザインだ。
全体的なフォルムが小さく見えて、ライバルのホンダフリードのシンプル路線のほうが好評との見方が強い。
これは現在のマーケットにも表われている。シエンタの2020年1~11月の新車販売台数の累計は6万6563台で月平均6051台、前年同期比35.8%もの大幅なマイナスである。
これに対してライバルのフリードは7万713台、月平均6428台、前年同期比10.6%減で、マイナス幅はシエンタに対して25.2ポイントも開いているのである。
トヨタとホンダではセールスパワーが2倍も違う。それなのにフリードのほうが販売台数が多いのは、商品力がフリードのほうが格段に優れている証拠といえなくもない。
したがって次期型は現行型の弱点を大幅に修正し仕立てているはずである。プラットフォームは当然のことながら、次世代のクルマ作りの考え方である「TNGA」を採用し新設計となる。
エクステリアデザインはブラックのガーニッシュをやめ、直線と曲面を融合させたシンプルで飽きのこないデザインでまとめるはず。
ボディサイズは5ナンバーサイズを継続し、巧みなデザイン処理で大きく立派に見せる工夫をしている。
ホイールベースを50mm延長することで広い室内と走行性能の向上を図る。現行の2列シート5人乗りと3列7人乗りシートのラインナップはどちらも好評のため継続する見込み。
パワーユニットは改良型の1.5LのガソリンNAとハイブリッドを搭載する。ハイブリッドは現行のニッケル水素バッテリーからコンパクト&高効率のリチウムイオンバッテリーに切り替えることで低燃費&高性能をさらに高次元で両立させる。
ハイブリッド車は現行モデルだと2WDのみであるが、次期型は4WD車も設定する。したがって2WD、4WDはガソリンNA、ハイブリッド車のどちらにも設定されることになる。
ハイブリッドモデルはバッテリーの小型化によって、広い室内と使い勝手の向上を図っている。トランスミッションはいずれもCVTとの組み合わせとなる。
安全・安心パッケージの「トヨタセーフティセンス」は最新の進化デバイスを標準装備する。
これによって月販1万台以上をコンスタントに販売し、同クラスのトップブランドの奪還と現行モデル最盛期の販売台数確保を目標としている。
プリウスαが2021年3月末で生産終了
トヨタは2020年12月1日、ホームページ上でプリウスαを2021年3月末をもって生産終了することを発表した。
2020年12月上旬時点では従来通り受注を受付けているが、2021年2月にはオーダーストップとなり、正式にモデル廃止となる見通しである。
現行モデルのプリウスが登場したのは2015年12月。普通に考えればその1年後あたりにプリウスαも世代交代するはずだった。ところがフルモデルチェンジすることなく現在まで9年以上も経過し、販売が低迷していた。
コンセプト的にはプリウスの前モデルをベースにホイールベースと全長を70mm延長し、全長もステーションワゴン風に仕立て、2列シート5人乗りのほか、3列シート7人乗りを設定している。
発売当初は比較的順調に売れていたが、その後はステーションワゴンや背が低めのミニバンブームの終焉によって同マーケットが大幅に縮小し、ハイブリッドも用意するカローラツーリングの登場で、プリウスαの存在価値が薄まっていた。
したがってフルモデルチェンジして次期型を投入するのは当面ないと見込まれる。
プリウス、プリウスα、プリウスPHVそれぞれのモデル別にわけた2020年1~10月の新車販売台数は以下の通り。プリウスαの販売台数は、カローラツーリングの約9分の1である。
■プリウス、プリウスα、プリウスPHV、カローラツーリングの新車販売台数
●2020年10月の新車販売台数
プリウス:4750台(80.2%)、プリウスα:480台(100.0%)、プリウスPHV:610台(88.4%)。カローラセダン:1280台(65.3%)、カローラツーリング:4970台(85.7%)
※カッコ内は対前年同期比
●2020年1~10月新車販売台数
プリウス:4万2030台、プリウスα:5100台、プリウスPHV:4700台。カローラセダン:1万3670台、カローラツーリング:4万2910台
ポルテ/スペイドは2020年12月上旬生産終了
ポルテ/スペイドも2020年12月1日、トヨタは2020年12月上旬をもって生産終了することをホームページ上で発表している。すでにディーラーに在庫車がほとんどない状況にある。
2012年7月に発売したポルテ/スペイドは、2016年11月にダイハツからOEM供給を受けて発売したほぼ同じコンセプトの「ルーミー/タンク(2020年9月に廃止)」の登場を機に販売が大幅に落ち込んだ。
当初からトヨタ販売店筋では「これでポルテ/スペイドは売れなくなり、生産中止に追い込まれるだろう」と予想していた。
というのはルーミー/タンクは、ポルテ/スペイドとほぼ同じサイズで、室内が広く両側スライド開閉ドアで使い勝手がよい。
そのうえ10万円以上も安い。これに対してポルテ/スペイドは助手席側が1枚ドアの開閉式で運転席側はスイング開閉と変則的で使い勝手の悪さがネックになっている。
トヨタとしてはポルテ/スペイドは1.5L、NAガソリンエンジンを搭載し、ルーミー/タンクは1L、NAガソリンと同ターボだから、コンセプトやクラスの違いでユーザー分けが可能と思っていたのだ。
ところがその後の販売推移を見ると、多くのユーザーはルーミー/タンクに流れ、これと比例してポルテ/スペイドは月を追って販売低迷が加速拡大していた。
ルーミー/タンクは2020年9月15日にマイナーチェンジし、内外装のデザインを変更し、ルーミーに1本化した。
このためルーミーの販売は好調で2020年11月は9112台、前年同月比27.8%増と登録車の銘柄別販売ランキングの6位に浮上している。こうしたことから今後、ポルテ/スペイドの次期型投入はないというのが濃厚である。
今後も新しい情報が入り次第、紹介していこう。
証言1:首都圏首都圏トヨタ店営業担当者
「つい最近、トヨタの国内営業担当首脳は傘下の販売店トップ向けの説明会を開催し、2021年の新型車投入計画について方針を提示したようです。
それによると2021年における新型車発売予定はフルモデルチェンジがランドクルーザー、ノア、86、アクア、ニューカマーはカローラクロスの合計5車種となっています。
つまりシエンタの次期型は含まれていません。したがって同モデルのフルモデルチェンジは2022年中盤あたりが濃厚になっています。
2021年秋に東京モーターショーが開催されるのであれば、同ショーにプロトタイプが参考出品される可能性があります。
現行モデルはエクステリアデザインが個性的すぎて、好き嫌いがはっきりわかれます。新型シエンタは、ホンダのフリードみたいにシンプルですっきりとしたエクステリアデザインになるでしょう。
生産中止が発表されたプリウスαとポルテ/スペイドはいずれも次期型の開発プロジェクトは動いていないと聞いています。
国内向けモデル削減の対象モデルに指定されています。売れゆきはよくないし、なくなっても問題ないと思います」。
【画像ギャラリー】これで見納め! 現行シエンタと生産終了決定のプリウスα ポルテ/スペイド
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December 08, 2020 at 05:00AM
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