ABCテレビで昨年1月期に放送された同名ドラマの続編となる本作『ミヤコが京都にやって来た!〜ふたりの夏〜』(ABCテレビ ※関西ローカル・配信あり)。風光明媚な夏の京都を舞台に、12年ぶりに再会した父・空吉(佐々木蔵之介)と娘・ミヤコ(藤野涼子)のぎこちなくもいとおしい共同生活を丹念に描く人情ドラマを送る。
シーズン1に続き、主人公・柿木空吉役を演じる佐々木蔵之介さんに、本作にかける思いや撮影時の裏話、今回から本格的に登場を果たす空吉のかつての思い人・佐知子(松本若菜)についてなど、より本作を見るのが楽しくなる、そんなお話をお聞きしました。
◆まず、続編が決まったと知った時の気持ちを教えて下さい。
シーズン1の企画が決まる前に(京都の)錦市場に行く機会があったのですが、普段は人でにぎわっているのに、その時はコロナの影響で海外の方はおろか観光客の方も全くいらっしゃらなくて、その閑散とした景色に衝撃を受けたんです。この企画は、それから京都の精鋭の方々とドラマを作って、見た方々に「ちょっとでも京都旅行した気分になってもらえたら…」と思ったところから始まったものでした。いわゆる“京都の観光地”もあれば、「こんなところもあったの?」というような場所も情報番組的にお伝えしつつお届けしたのですが、このように良い評価をいただいて、ありがたいな、報われたなと。思い入れのある作品で続編をやらせていただける、これ以上の幸せはないなと思いました。
◆続編決定の発表時、SNS上でも多くのファンから喜びの声が上がっていました。
僕自身も、また空吉と、あのメンバーと会えるんだ、京都で撮影ができるんだ、と喜びが強かったです。自分のホームで、かつ慣れ親しんだ言葉を話せる機会はお仕事ではなかなかないですし、すごく幸せなことだなと。
◆空吉を演じるに当たって、意識されていることはありますか?
空吉という人物は僕とは違うのですが、他の役を作る時のように何かを背負う感覚はあまりなく、わりと地続き的というか…。自然と役に入りながら、せりふを言えているのかなと思います。ただ、「空吉との共通点は?」と言われたら、自転車に乗って街を走っていることくらいかもしれません。よく母のママチャリを使って街を移動しています(笑)。
◆続編では、柳沢慎吾さん、ますだおかだ増田さん、川畑泰史さん、おいでやす小田さんら新キャストの方々の出演にも期待が高まります。
本当に、皆さんそれぞれに彩りがあって楽しかったです。川畑さんや小田さんをはじめ、実際に京都に住んでいた方々もいますが、そうではない方も、皆さん実際に住んでいる方々かのように街になじんでいるのを感じていただけると思います。
◆蔵之介さんと増田さんは親交が深いそうですが、先日増田さんが「僕と蔵之介の“悪ノリ”がどこまで放送されるのか」というようなコメントを出されていました。もしかしてアドリブなども…?
アドリブはやっていないですね。…綿密な打ち合わせと稽古の成果を本番に乗せた、というのが正解です(笑)。でも、増田さんとの共演はずっと楽しみにしていました。さらに、互いに素の言葉で、かつ漫才師の彼と掛け合いができることほどありがたいことはないなと。撮影の際、増田さんはせりふを全て入れてきていたのですが、僕のほうから「せっかく一緒にやるならここはこうやりたい」と別のものを提案してみたところ、増田さんも「ここはこういうネタ…、いや芝居を入れてみたらどうや」といろいろ考えて下さって。共演シーンはとても面白いものになったと思いますし、実はどのシーンよりも稽古をしました(笑)。
◆そんな皆さんに加え、シーズン1の終盤に登場し、話題を呼んだ佐知子が登場するのも今回の見どころの1つかと思います。演じる松本若菜さんの印象はいかがでしたか?
今となっては“松本劇場(※)”などで多くの方々が松本さんの魅力をご存じかと思うのですが、僕はあれだけ気さくで、奔放で、楽しい方だということを前回の撮影時には気づいていなかったんです(笑)。女優さんでありながら気を張らずに、気楽に一緒にいられますし、お気遣いもしてくださって、なによりお美しい。共演させていただいて、いいことしかなかったです(笑)。
※ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系/2022年4月クール)出演時、松本さんが本編や番組公式SNSで見せた個性あふれるパフォーマンスのこと。
◆そんな松本さんは、現場で目の当たりにした蔵之介さんと藤野さんの関係性を「本当の親子のようだった」とおっしゃっていました。
涼子は、待ち時間に僕と松本さんと3人でいる時も、急に芝居のことを真面目に問うてくるような子なんです(笑)。そして、僕も聞かれるとつい熱く答えてしまうので、松本さんはそういうところを見て、「親子みたいだな」と思われたのかもしれません。でも、実は涼子と親子役をやるのはこれで3回目。「ソロモンの偽証」(2015年)という彼女のデビュー作の映画でもお父さん役をやっているので、これだけやっていたら本当に親子っぽくなってきたかもしれないですね(笑)。
◆蔵之介さんの思う娘・ミヤコの魅力は?
ご縁を大事にしているところかな。京都というところを彼女なりに好きになり、この文化や伝統を残したいという思いにつながっていったと思うのですが、提灯屋さんをはじめ、1つひとつの縁を大切にしてきたことで、仕事として成立するようになったのだと思います。
◆今回は、空吉と松本さん演じる佐知子の恋模様も描かれますが、蔵之介さんから見た佐知子はどのような女性だと感じられましたか?
劇中にもあるんですけど、郵便受けに飴だけ置いていっちゃうとか、ちょっと抜けているところが愛らしいなと。美しく清楚なだけでなく、チャーミングさや芯の強さも垣間見えるところがすてきだなと思います。そして、僕から見る松本さん自身にもそういう部分があって、どこか被るところがあるなと感じていました。
◆最後に、本作の見どころや注目してほしいポイントをお願いします。
空吉とミヤコ、ミヤコと敦彦(結木滉星)、空吉と佐知子…という、いろんな人の「ふたりの夏」はもちろん、空吉があの生活を変わらず大切に、つつましくも心豊かに暮らしているところを見ていただけたらなと思います。そして、シーズン1の際に「京都に行きたくなった」という声を想像以上にいただけたのですが、今回もまた「京都に行きたいな」と思っていただけるドラマになっていると思うので、ぜひこれを見て秋の京都に来て下さい。
SPECIAL TOPIC
◆夏の京都のおすすめスポットは?
貴船の川床です。山の中にあるのでちょっと遠い印象があるのか、「京都によく行く」という方でも行ったことのない方が多いようなのですが、とても気持ちがよくて、まさにマイナスイオンが出ているんです。木々の緑が美しく、川の水もひやっと涼しくて、川に瓶ビールを入れて冷やして、まったりしながらそれを飲む、みたいな楽しみ方もできたり…。朝から営業しているカフェなども増えているようなので、朝ご飯を食べに行って、そこから市内を散策する、なんてコースもいいかもしれないですね。夏にはとてもおすすめの場所です。
◆毎年の夏の楽しみは?
京都にいたら、絶対に「送り火」は見ます。見ようとしなかったことがないですし、絶対になんらかの形でも見ようとしますね。魅力は、と言われると難しいのですが、山に火が点く風景というのは何とも言えない良さがあって…。山を見ながら、「あっ、あそこ火点いた! あっちも点いた!」とみんなで盛り上がるのもまた一興です(笑)。
番組情報
『ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~』
ABCテレビ ※関西ローカル・見逃し配信あり
第1夜:2022年9月30日(金)深夜0時24分~
第2夜:2022年10月1日(土)深夜0時05分~
第3夜:2022年10月2日(日)深夜0時25分~
出演:佐々木蔵之介、藤野涼子、結木滉星、松本若菜
柳沢慎吾、ますだおかだ増田、川畑泰史、おいでやす小田
芦屋小雁、三林京子、市川猿之助
番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/miyakyo
PROFILE
佐々木蔵之介
●ささき・くらのすけ…1968年2月4日生まれ。京都府出身。O型。Amazon Prime Video『モアザンワーズ/More Than Words』が配信中のほか、2023年公開の映画「嘘八百 なにわ夢の陣」、「シャイロックの子供たち」に出演。京都観光大使を務める。
●text/片岡聡恵
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