2010年、芸能事務所「ワタナベエンターテインメント」により開催された「D☆DATE」の新メンバーオーディション「D-BOYS部門」のグランプリを獲得し、芸能界入りを果たした俳優の山田裕貴(やまだ・ゆうき/31)。「D-BOYS SINGオーディション」と「WE ACTオーディション」のWオーディションの開催に合わせ、モデルプレスでは山田にインタビューを実施。オーディションから現在までを振り返ってもらい、当時の心境や俳優としてのこだわり、若手俳優に対する心境について語ってもらった。前編では山田の過去にフォーカスし、明るいキャラクターの内に隠された素顔に迫る。
ワタナベエンターテインメント、Wオーディション開催
芸能事務所「ワタナベエンターテインメント」では「D-BOYS SINGオーディション」と「WE ACTオーディション」のWオーディションを開催し、眠っている才能を見出し次世代のスターを生み出していく。本オーディションでは「ワタナベエンターテインメント」の現役マネージャーが応募者全員と面談をし、直接その場でフィードバック与えるという応募者にとって成長の機会に。
さらに、合格者には無料でレッスンを受けられる環境を整えている。また、全国4都市(東京・愛知・大阪・福岡)で直接面接・ZOOMで参加可能。締め切りは8月下旬を予定している。
山田裕貴、社長からの一言に号泣
そして在学中に開催され、自ら応募したのが前述したオーディションだった。
当時について山田は「そんな甘い世界ではないので、来たチャンスは取りに行かないとどうなるか分からない。とりあえずこのオーディションの流れに乗ったからには、通るしかないと思って」と回顧。
「そこから審査が進んで合宿に参加することになりました。養成所で学んでいたこともあって、歌もダンスも演技も“皆よりできないということがあり得ない”状態での挑戦にプレッシャーをとても感じました。そんな中、合宿の最後に社長から『歌もダンスも演技も合格点だけど、あなたの心が見えない』と言われ、悔しすぎて大号泣(笑)。『見とけよ!』という思いでとにかく頑張りました。
後々あのとき言われたことは『ああ、なるほどな』って。でも当時18歳、19歳の未熟な僕にとって理解するのは難しかったです(笑)」
「いや、一切僕はカッコつけようという感覚がなかったんですよ。“お芝居は心”、歌も“心”だと思っていたから、逆に言えば『なぜ心が見えないのか分からない』みたいな気持ち。多分『カッコつけよう』ではなく、上手くやろうとしていたんです。みんなより上手くなきゃいけなかったから。結果、それが良くなかったと気付くんですけど、どういう意味なのか自分でひたすら考えましたね。気付けるまでに4、5年かかりました」
社長から受け取った言葉の真意を掴んだ山田は、その後の変化について率直に語り始めた。
「心がけていることは変わらない。“心”だと思っているし、上手ければいいものではないですよ。歌が上手すぎても『上手いな』と、ただそれだけを感じてしまうときがあるじゃないですか。
ある歌手の方がインタビューで『今までで1番感動したライブは何ですか?』と聞かれて『友達が泣きながら歌っていたカラオケ』と答えていらっしゃったんです。
本気で悩んでいること、本気で考えていることを友達や家族に対して打ち明けるときは、多分全部を見せられると思いますが、そこに通ずるものがあると思います。自分が“心”を開くことというか、カッコつけない、よく見せようとしない、『僕にはこういう駄目なところもあります』と素の姿を見せることを全人間に対してできるかどうか、ということを心がけています」
山田裕貴の原動力は「負け続けてきたから」
「オーディションでも1番になれなかったし、遡れば幼少期にやっていた野球ではレギュラーにもなれなかった。
ただ勝負ではないので明確な勝敗があるわけではないですし、結果自分が納得できる道を歩めれば、それが一番の勝利だと思います。競争ではないし、人生人それぞれあると思うので。ただ、“悔しさ”という感情だけが僕の心の中に広がっていくから、これを払拭するために頑張ってきました。それを原動力に今もこうしてお仕事を頑張ることができています」
山田裕貴「毎日がターニングポイントです」
「『そこ(その作品)を大事にしているんだ』と応援してくれる人に思われたくないし、全部大事だと思っています。毎日がターニングポイントです」
そんな山田の考える「芝居の魅力」は、「魅力が分からないこと」。
「やればやるほど、魅力が分からなくなっていくんです。それほど悩むし苦しくなってくるし、正解は出せないから怖いし、追いついていけない自分を感じる。
きっとこれを突き詰めても終わらないんだろうなと思います。あとは、(人からの)反応が体感できることです」
山田裕貴、“壁を乗り越えた”エピソード
「毎日毎日撮影は続くので『明日のシーンどうしよう』と言っています。だから違うことを考えようとするんですけど、絶対脳裏によぎる。どんなに楽しいことをしていてもご飯を食べていても『ああ、明日このシーンだな』とか『明後日〇〇のシーンだな』と思うから、どうにか現実逃避をしようとするんですけど、逃れられないお仕事ですね」
明るいキャラクターとは裏腹に日々不安や葛藤を抱えていると聞くと、普通なら気分が沈み続けてしまいそうにも思えるが「だから落ちなくなりました。もう落ちすぎて慣れちゃって別に落ちてない。なんかフラットですね。めっちゃ平常心。『もう知っています、この感情』という感じ」とあっけらかんと語った。
そんな山田にフラットでいられる秘訣を聞いた。
「“慣れ”ですね。ずっとそれを体感していて、そこから逃げようとするといくらでも逃げられるんですけど、絶対に明日は来て撮影は来るから逃げられないんですよ。だから『もう逃げなきゃいいんだ』と思って。『はいそうだね。悩んでるね、俺。どうしようかな~』みたいな感じです。悩まなくなった。ただ考え続けているだけです」
山田裕貴、完璧を求め続けるも「多分一生ないと思います」
「自分がお芝居し終わった後、モニターチェックが始まるんですよ。それは僕らのためのチェックではなく、スタッフさんが見切れや物の映り込みがないかという最終チェックをするときにモニターで1回映像を観返すんですけど、僕はなるべく観るようにしています。そのときに『役の顔が出ているな、これ俺じゃないな』と思えると、そのときは成長というか『よし!』という感じ。5%くらいは嬉しいです。
それで、完成したものをお客さんに観てもらって『良かった』と言われて一気に跳ね上がるんですけど、まだ100%ではないです。完璧ではないと思うから。それぐらい普段はもう平常心というか、心が動かないです。もっと突き詰められる場所がいっぱいありすぎて。100%に達したことはないですし、多分一生ないと思います」
山田裕貴、成長する後輩への心境語る
「すごい人たちいっぱいいますからね。自分でやって編集して書いて…とかする人たちばっかりだけど、そうじゃなくても戦えると思いますし、もう今の時点で『すごいんだ』と思った方がいいですね。でもそれが人に響くのか、というところだけ疑い続けた方がいい。今のその表情は共感性を生んでいるのだろうか、このお芝居に対して正しいものなのだろうか、この歌声は人にとって響く声なのだろうか、とか。
例えば、歌になると今度は周波数の話になってくるから人間が聞きやすい周波数と上手くても聞き取りづらい周波数があるはずなんですよ。『1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)』という宇多田ヒカルさんとかが出す周波数があって、それが人間の脳が1番安らぎを感じる歌声で、と科学的にも心の部分からも攻められる。そういう風に色んな視点を持って自分を見た方がいい気がします」
一方で、勢いが増す後輩の姿を見てプレッシャーを感じることはあるのだろうか。
「それはもちろん。別に自分ができていると思っていないからだと思います。運が良かっただけなので。運と人に恵まれただけです」
インタビュー後編では、数々の話題作に出演し一層の注目を浴びている現在の胸の内や「夢を叶える秘訣」について聞いた。(modelpress編集部)
山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール
2022年も映画「余命10年」「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」、ドラマ「特捜9 season5」
(テレビ朝日系)など多彩に活躍。現在、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演するほか、待機作には劇場アニメ「ONE PIECE FILM RED」(8月6日公開)、「耳をすませば」(10月14日公開)、映画「夜、鳥たちが啼く」(12月9日公開)、「東京リベンジャーズ2」(2023年公開予定)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(2023年放送予定)が控えている。
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