
《「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日》
なんでもない1日が、誰かのひとことで特別な1日になる。三十一文字(みそひともじ)の短歌がそう教えてくれた。
軽やかな口語調で若者の日常を詠(うた)った俵万智さん(59)の第1歌集『サラダ記念日』。1987年の発売の1カ月前に版元の河出書房新社に入社した編集者の高木れい子さん(59)は「研修でまわったどのセクションでも『共感できる歌が並んだ、すごい歌集がもうすぐ出るから』と沸いていました」と社内の熱気を振り返る。初版は8千部。歌集としては異例の部数で、県立高校の国語科教諭だった俵さんは「売れ残ったらどうしよう」と心配したという。
ところが発売してみれば、1年足らずで200万部を突破した。歌集に挟んだ愛読者カードは幅広い年代の読者から戻ってきた。「短歌というのは、こういうふうに書いてもいいのか」「歌を作る勇気が出てきた」といった感想がつづられ、「あなたの一首をどうぞ」と設けた欄には約4万人から20万首もの歌が寄せられた。愛読者カードから厳選した1300首余を収めた『わたくしたちのサラダ記念日』が翌1988年に出版された。
身のまわりのささやかなことを普段使いの言葉で詠んでいい。俵さんの歌から読者はこう感じ取り、短歌の読み手だけでなく、作り手が一気に増えた。同じ年の暮れに公開された松竹映画のタイトルは「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」。短歌ブームにとどまらない社会現象を巻き起こした。
なぜこれほど広く読まれたの…
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