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暖冬こそオールシーズンタイヤがベストな選択? 横浜ゴム「ブルーアース4S AW21」試乗記 - GQ JAPAN

オールシーズンタイヤの躍進

横浜ゴムのタイヤ勉強会・試乗会が北海道旭川にある同社のテストセンター「TTCH(Tire Test Center of Hokkaido)」でおこなわれた。

2003年に始まったこのイベント、私は昨年に続いて2回目の参加になったが、現役エンジニアによる貴重な講義に始まって、普段は走れないタイヤメーカーのテストコースでの試乗と内容は盛りだくさん。冬の北海道が舞台とあってテーマはスタッドレスタイヤ中心だったものの、滑りやすい雪道や氷上路でのドライビングはクルマやタイヤを理解するのに大いに役に立つ。とりわけ今回はいま話題のオールシーズンタイヤに試乗できると聞いて、大いに期待して旭川に向かった。

そう、ここ数年のタイヤ業界は、オールシーズンタイヤの話題で賑わっている。それも、ヨーロッパ生まれの新しいタイプのオールシーズンタイヤが注目されているのだ。

「TTCH(Tire Test Center of Hokkaido)」にある、大型の氷上テストコース。

その特徴をひとことでいえば、一般的な夏用タイヤの性能をほとんど犠牲にせず、雪上走行にもある程度対応している点にある。いや、ある程度どころか、冬用タイヤ規制が実施される高速道路での走行が許されるほど、しっかりした雪上性能を備えているのだ。

横浜ゴムもこれと同種のオールシーズンタイヤ、その名も「ブルーアース4S AW21」を今年1月9日に販売開始した。とはいえ、これまでの常識で考えれば夏用タイヤの性能を損なわずに雪上性能を確保するなど不可能なはず。その不可能をどうやって可能にしたのか? を、まずは紹介しよう。

雪上重視のブルーアース4S AW21

雪上走行のためのタイヤといえば、スタッドレスタイヤがその代表。その表面には“サイプ”と呼ばれる細かな切れ込みが無数に刻まれている。つまり、雪上性能を確保するにはサイプを入れるのが効果的である。

ただし、当然のことながらサイプの入れ方はドライ性能やウェット性能にも大きな影響を及ぼす。横浜ゴムの研究によれば、雪上性能はサイプの数に比例して一直線に向上していくが、ドライ性能は一直線に下降。そしてウェット性能は、サイプを増やすとあるところまで向上するが、ある数を超えると下降に転じるという。つまり、ウェット性能とサイプの関係はひとつの頂点を持つ山形になるそうだ。

複雑に絡み合った3つの性能をどうバランスさせるか? これこそ、オールシーズンタイヤの性格を決める大きなポイントになるという。たとえば、ドライ性能を優先するならウェット性能とドライ性能のグラフが交わるあたり、スノー性能を優先するならウェット性能とスノー性能が交わるあたりにサイプの数を設定するのがもっとも有利となる。

ちなみにブルーアース4S AW21はスノー性能を重視してサイプの数を設定した。つまり、スノー性能とウェット性能が交わるあたりだ。このほか、気温が低い状態でも硬くなりにくいゴム素材を使うなどして雪上性能を確保したという。実は、雪上性能を確保したオールシーズンタイヤは他社からもいくつか商品化されているが、その多くはドライ性能重視の性格。つまり、ブルーアース4S AW21は雪上性能重視の個性派(少数派?)オールシーズンタイヤなのである。

ブルーアース4S AW21のカタログを見ると、ドライ、ウェット、シャーベット、圧雪の各路面における性能は○で、凍結路面は×と記されている。これに対し、基準になる横浜ゴムの夏用タイヤはドライとウェットが◎で、シャーベット、圧雪、凍結が×との表示。とはいえ、この結果が夏用タイヤの性能によって大きく変わってくるのはいうまでもない。

技術者に確認したところ、ここで基準用として引き合いに出されたのは「ブルーアースGT」という夏用タイヤ。ちなみにその価格帯はブルーアース4S AW21と同等である。ただし、比較対象をワンランク下げて「エコス(ECOS)」にすれば、ブルーアース4S AW21のドライとウェットにおける評価は◎になるらしい。

もしものときに…オールシーズンタイヤを

そんなブルーアース4S AW21の雪上ならびに氷上における性能を、横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード6」と比較した。つまり、ドライとウェットは問題ないはずだから、弱点であるはずの雪と氷の性能を見てみようというわけである。

最初に試したのはツルッツルな氷のうえで20km/hから急制動したとき、おおよそ何mで停まるかというテスト。

実はこのテスト、初速やブレーキングのタイミングを正確にあわせるのがなかなか難しいが、何回か繰り返したところ、ブルーアース4S AW21は約12m、アイスガード6は約7mで停止した。そのとき、アイスガード6はブレーキペダルから伝わってくる感触も力強く、いかにも氷をしっかりと捉えている印象。これに比べると、ブルーアース4S AW21もまずまず頑張ってはいるものの、どこか氷を掴みきれずにさーっと滑っているように感じられる。言い換えれば、安心感でも実際の制動距離でもスタッドレスタイヤのほうが数段上手だったのである。

いっぽう、雪上のスラローム走行ではここまで明確な差はなかった。もちろんアイスガード6のほうがペースは速かったしコントロール性も良好。でも、平均的な速度でいえばアイスガード6の約48km/hに対し、ブルーアース4S AW21は約42km/hとブルーアース4S AW21の健闘が印象に残った。

つまり、新世代オールシーズンタイヤは雪道だったらまずまず走れるけれど氷上は苦手と考えたほうがいい。だから、たとえば関東地方のように雪が降るのは年に1日か2日しかないが、もしものときに備えて雪道でも走れるタイヤが欲しいという向きにオールシーズンタイヤはお勧め。季節が変わるごとに夏用タイヤとスタッドレスタイヤを履き替えなくてもいいという点もオールシーズンタイヤのメリットだ。

いっぽう、同じ関東地方在住でもウィンタースポーツが大好きで冬は何度もスキー場に足を運ぶという向きにはスタッドレスタイヤが必須。その場合は面倒だけれど春夏秋は夏用タイヤ、冬はスタッドレスタイヤと履き替える必要がある。

そしてオールシーズンタイヤを買う場合は、雪上性能をどれだけ重視するかでメーカーを選んだほうがいいだろう。今回は他メーカーとの比較テストをおこなっていないので具体的にどのメーカーがいいとはいえないものの、ブルーアース4S AW21が雪上性能重視のオールシーズンタイヤであることは間違いなさそうだ。

文・大谷達也

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February 26, 2020 at 06:30PM
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