永野この作品についてタナダユキ監督と初めてお話した時に、「マリコ役は奈緒さんにお願いしたいと思っています」というのを聞いて、「奈緒ちゃんなんだ!」と前向きになりました。それを聞くまで、実は迷っていたんです。「今回の役はいまの私に演じるのは無理かもしれない」って。でも、親友役を奈緒ちゃんが演じてくれるなら頑張れるかも、と思いました。
奈緒私のところにもお話が来て、主演は永野芽郁さんです、と原作漫画もいただいて、すごく「やりたい」と思っていた時に、この作品とは関係なく芽郁ちゃんと会ったんだよね。
永野何の作品でとか、何の役でとか、そういうことは言わず、「奈緒ちゃん映画の話、聞いてる?」みたいな感じで話していたよね(笑)。奈緒ちゃんから「聞いてるよ。芽郁ちゃんはどんな感じ?」と返ってきたから、「実は、すごく悩んでて…」と打ち明けました。
奈緒その時、私の中では芽郁ちゃんと一緒にやりたい、と思っていたんですけど、芽郁ちゃん自身の気持ちが固まっていない中で、その判断に影響するようなことは言いたくないなと思ったので、探り探り話していたことを覚えています。
永野そうしようと意識しているわけではないのですが、今回の場合は、一緒にやるかどうかだったので、そこは親しき仲にも礼儀ありじゃないですけど、「一緒にできたらいいな」と思っていてもそれを言葉にして言ってしまったら、自分の考えを押し付けることにもなりかねないので、お互いに尊重し合いながら、探り探りお互いの気持ちを確かめ合っていく感じはありましたね。
――おふたりだけでなく、窪田正孝さんほか出演者が決まって、監督・スタッフ含め、チーム『マイ・ブロークン・マリコ』が本格的に動き出してからはどうだったのですか?
永野私自身、すごく不安な部分が大きかったので、撮影が始まる前からたくさん話し合いました。奈緒ちゃんに電話して、「ちょっとどうしよう、やれる気がしない」みたいな弱音を吐いたこともありました。奈緒ちゃんもマリコを演じる上での葛藤みたいなものを打ち明けてくれて。2人で励まし合いながら、前に進んでいった感じがありました。マリコが奈緒ちゃんじゃなかったら私はシイノになれなかったと思います。
――不安だった部分というのは?
永野私の中にシイノとの共通点を見つけられなくて。もちろん人として、シイノの考え方、生き様みたいなものに共感できる部分はあったのですが、例えば、私は喫煙者じゃないし、お酒は飲むけど、シイノのみたいに浴びるように飲んだりしないし、この役を全うできるだろうか、という不安がずっとありました。
奈緒自ら命を絶つ役はこれまで避けてきたところがあったので、不安もありました。それでも今回、マリコという役に向き合いたいなと思えたのは、原作が持っているパワーですね、これは残された人のための物語なんだ、生きることへの希望の物語だというのをすごく感じて心が動きました。それに、シイちゃんを芽郁ちゃんが演じるのであれば、そこはもう飛び込んでいきたいっていう気持ちがすごく強かったですね。
――マリコは顔や体のどこかをけがしていたり、治りかけだったりしていますね。
奈緒そうですね。とてもリアルにあざや傷のメイクをしていただいて、鏡で見た時に、自分でも見たことがないような顔になっていて驚きもしましたし、その傷一つ一つにマリコが背負っているものを感じていました。まだ幼い、学生時代のシイノとマリコのシーンを見学した際、特殊メイクでマリコ役の横山芽生さんの腫れたお顔が目に入った時の方がショックでしたね、なんだか胸をえぐられるような思いをしました。
映画『マイ・ブロークン・マリコ』2022年9月30日公開
奈緒 窪田正孝 尾美としのり 吉田羊
監督:タナダユキ 脚本:向井康介 タナダユキ 音楽:加藤久貴
原作:平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA)
音楽:加藤久貴
エンディングテーマ:「生きのばし」Theピーズ(P)2003King Record Co.,Ltd.
配給:ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA
(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
公式サイト:https://ift.tt/qgI24mV
公式twitter:@mariko_movie
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