竹内涼真が主演を務めるドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)第6話もまた新(竹内涼真)をはじめとするそれぞれのキャラクターが躍動していくが、あえて印象的な人物を挙げるとするならば葵(平手友梨奈)と龍二(鈴鹿央士)になるだろう。
新はかつて父・信二(光石研)の轢き逃げ事件を担当していた刑事・松下(緒形直人)と再会する。現在は警察の職から退き、遠く離れたのどかな土地でひっそりと農業を営む松下。彼も長屋の大きな圧力に巻き込まれた一人であり、新への後ろめたさと後悔を抱えて生きてきた。新が望むのは、松下が偽証したことを認めて真実を明らかにすること。そうすることで会長・茂(香川照之)につく長屋の株主たちを一気に専務・相川(稲森いずみ)側へと味方につけることができる。形成逆転の切り札だ。
その布石である松下へと会いに、葵も同行する。回を増すごとに真っ直ぐかつ大胆になっていく新への思い。新から「一緒に行く?」と誘われ「もちろん!」と満面の笑みで腕組みをするシーンは序章に過ぎず、新の膝枕+腕に包まれながら葵は自分の好きだという気持ちが愛だということに気づく。新の腕に残る傷を見て「もう二度と一人で悲しませたくない。この人に手を出した奴らはみんな潰してやる」と心に誓うのだった。後述する龍二への容赦ない別れのシーンとのギャップも相まって、どこか美しさを感じさせる葵の涙である。
今回の第6話にてキーパーソンとなるのが、茂の次男であり居酒屋「二代目みやべ」で働く龍二だ。新を敵と見なした茂は、みやべが入っているビルを丸ごと買収し、立ち退きに追い込んでいく。龍二も優香(新木優子)と同様に、長屋と新との間で揺れる人物だ。自分が長屋に戻ることで、みやべはきっと移転せずに営業を続けることができる。葵の悪魔のような“酷い“後押しもあり、龍二は新にみやべを辞めることを告げるのだ。実質、葵からフラれもしている龍二が彼女との思い出をフラッシュバックするシーンが切ない。
だが、新は「人がいるから商売ができる」と信念を貫く男だ。新は茂と再会しお互いの「強さ」について主張し合う。茂にとってはビルを買い取り、相手が築いてきたものを一瞬にして壊すことのできるのが強さ。しかし、そんなことは新にとっては何一つ奪っていないに等しく、「強さは人が作る。信頼が僕を強くする」と新は茂へと言い放つのだった。
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