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「ちむどんどん」第98回:食い逃げしたり泥棒したり、犯罪ばかりで見ていてしんどい - シネマズby松竹


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第98回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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矢作、再登場

鶴見の商店街で食い逃げ事件、発生。犯人は矢作(井之脇海)でした。

このとき矢作が口にした「まさかやー」は、まさに「まさかやー」。
暢子の口癖からあだ名にしていた「まさかや」と、こんなところでまさか再会するとはの「まさかや」がかかっているんでしょうね。

食い逃げと言っても、働いて返そうとしたようで、でもそんなの無理ということになって揉めたようです。情状酌量の余地を残した描き方です。

逃亡の際、包丁を落としたものだから、騒然となります。それを拾った暢子(黒島結菜)は思うところあったようで、矢作にお店を手伝ってほしいと持ちかけます。

包丁を大事にしているのは料理人としての魂を失っていないと思ったのでしょう。

「料理なんてこりごりだよ」と毒づきながら、包丁を持ち歩いている。なんてベタなんだ……。

いっそ、包丁を持ち歩いて、飲食店で食べた分働くという、さすらいの料理人として生きていけばいいと思います。

包丁を風呂敷に包んだだけってちょっとこわいですよね。しかもどこから包丁が落ちたのか。懐に入れていたのか。せめてかばんの中にしまっておいてほしい。なんかあったら彼自身に刺さるのではと思うと、もうちょっと慎重に持ち歩いてほしいものです。

それはともかく、乱闘に巻き込まれた暢子が流産ーーそんな昼ドラ的展開になったらどうしようかとハラハラしました。

矢作、奥さんとも別れたそうですが、暢子がフォンターナに相談に行くと、入れ違いで、奥さん・佳代(藤間爽子)が来ていました。

なんだかんだで矢作がお店を手伝うことは想像に難くありません。が、大事に至らなかったとはいえ、権利書を盗んだことはかなりのことだと思うんですが、許してしまうんですかね。

けろっと矢作を受け入れようとしている暢子の横で、和彦(宮沢氷魚)がこわい目をしているのは、宮沢さんなりの、和彦の警戒心の演技なのでしょう。

赦す、ことは大事だけれど、権利書を盗んだり借金取りに追われたりした人と関わったらやばいと思うんですよね。赦す、ことばかり先立って、行いの問題点を曖昧にすることが、このドラマの特徴です。これが受け入れ難い視聴者が少なくありません。

賢秀の関わっている詐欺的な行為、矢作の窃盗、食い逃げ、暴力的な人たちの恫喝、暴力等々、犯罪やら物騒なことばかりで、なぜそんなことばかり描くのかと
思いましたが、夜のドラマなら、刑事もの、ミステリーは、犯罪ばかりが当たり前。それが解決するものがカタルシスです。「ちむどんどん」は解決しないでなんでも赦すことで曖昧化されている。それが奇妙です。

さて、やんばるでは、良子(川口春奈)が、給食に沖縄の野菜を取り入れようと奮闘中。最初は反対していた安室のおばぁ(あめくみちこ)が協力してくれます。この手のいい話も、なんだか駆け足なので拍子抜け。

優子(仲間由紀恵)が急に他者との関係を大事にするよう娘たちに教育をはじめました。暢子には反対意見にも耳を傾けるように諭し、良子には近隣の人たちの協力を仰ぐこと、井戸端会議から解決策が浮かぶことを教えます。

なぜ、いまさら、そんな教育を……とも思いますが、父の遺言の自分らしくに囚われて、どうやら生きづらい娘たちに、優子がいよいよ、別の視点を与えようと思い始めたのでしょう。戦争体験を話したことですこし優子も変わってきたのかもしれません。

智(前田公輝)歌子(上白石萌歌)に協力しています。智はもともと他人に親切心でしたけれど。歌子の長い片思い、かなうといいですね。

(文:木俣冬)

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