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久保建英、来季の「ベストシナリオ」は?30ものクラブが獲得に関心 - ASCII.jp

スペイン、マジョルカでの1年目のシーズンを終えた日本代表MF久保建英 写真:ムツ・カワモリ/アフロ

新天地スペインでの1年目の挑戦を終えた日本代表MF久保建英の去就を巡って、ヨーロッパ発の報道がかまびすしい。ラ・リーガ1部を制した名門レアル・マドリードから期限付き移籍したマジョルカは2部降格を喫したが、35試合に出場し、4ゴール4アシストをマークしてチームの中心を担った19歳の久保に対する評価は逆に急上昇。30ものクラブが熱い視線を送る中で、レアル・マドリードへの復帰を含めたシナリオにおける最適解は何なのだろうか。(ノンフィクションライター 藤江直人)

1年目で評価を一変させることに成功

 自らの意思で所属クラブを含めたプレー環境を変えてから約11カ月。一度沈んでから右肩上がりの軌跡を描き始めた久保建英の成長曲線は、図らずも訪れた新型コロナウイルスによる長期中断の影響を受けることなく、再開後にはさらに眩い輝きを放ちながらスペイン1年目の挑戦を終えた。

 国際移籍が可能になる18歳になった直後の昨年6月に、すでにJ1のFC東京を退団していた久保はラ・リーガ1部の名門レアル・マドリードへ電撃移籍。さらに2019-20シーズンが開幕した直後の同8月下旬に、ラ・リーガ1部に昇格したRCDマジョルカへ期限付き移籍した。

 FCバルセロナと並んでスペインを、そしてヨーロッパを代表する強豪クラブから、戦力面で大きく劣るマジョルカへ。この移籍は実はポジティブな要素に満ちあふれていた。

 レアル・マドリードは昨夏の段階で、3部リーグにあたるセグンダ・ディビシオンBに所属するリザーブチーム、レアル・マドリード・カスティージャで久保をプレーさせる予定だった。しかし、トップチームの一員として帯同したプレシーズンのプレーが、久保に対する評価を一変させた。

 卓越したテクニックと物おじしない度胸を目の当たりにしたレアル・マドリードの首脳陣は、リザーブチームでプレーさせるのはかえって時間の無駄になると判断。スペインに慣れるためにも、同じラ・リーガ1部のクラブでプレーさせ、久保の成長を加速させる青写真を描き始めた。

 久保自身もラ・リーガ1部でのプレーを希望したため、開幕直後の段階でマジョルカへ加入した。もっとも、ここで素朴な疑問が残る。久保をレアル・マドリードとのトップチームでプレーさせる選択肢はなかったのか、と。

 答えは明白だった。ラ・リーガ1部の各クラブに設定されている、最大3枠を数えるEU(ヨーロッパ連合)外枠はすでに埋まっており、久保がどんなに望んでもトップチームでプレーすることができなかったからだ。

 2019-20シーズンへ向けて、レアル・マドリードはDFエデル・ミリトン、FWヴィニシウス・ジュニオール、FWロドリゴ・ゴエスのブラジル代表トリオにEU外枠を使うことを決めていた。特にロドリゴは久保と同じ2001年生まれで、ほぼ同時期にレアル・マドリードへ加入した逸材だった。

 もっとも、そうした状況を久保自身も織り込み済みだったのだろう。開幕前のキャンプを経験していないマジョルカでポジション争いを制し、武者修行を積み重ねて実力を付け、日本代表に選出されればスペインと母国とを行き来する日々も待つ慌ただしさを、誰よりも久保自身が待ち望んでいた。

「実力が伴っているから選んでもらっていると思うので。チャンスがあれば自分の最大限のプレーをして、それをどのように評価してもらえるか。自分が選ばれている理由というものをピッチの上で見せ続けていくことで、自分の力で(現状を)変えていくしかない、と思っています」

 こんな言葉を残したのは昨年9月。マジョルカで初出場を果たした直後に森保ジャパンに招集されたタイミングとあって、メディアからはこんな質問も飛んだ。「今回はマジョルカに残って、新天地におけるコンビネーションを磨いた方がよかったのでは」と。久保は毅然とした口調でこう答えた。

「それをここ(代表チーム)でどうこう言っても何も起きないですし、ここで自分がいいプレーを見せることが、少しでもプラスになればいいかなと思っています」

不自由なく操れるスペイン語が武器に

 待望の初ゴールはマジョルカでラ・リーガ1部出場10試合目、昨年11月10日のビジャレアル戦で生まれている。直後にフル代表ではなく、東京五輪世代となるU‐22代表の一員として帰国した久保は、やや意外に聞こえる言葉で初ゴールを振り返っている。

「やっぱり数字で結果を残さないと、心ない言葉とかも見えたりするので。そういう意味では自分の結果で周囲の反応とかを変わらせるしかない、と思っていたので」

 久保が言及した「心ない言葉」とは、ゴールやアシストという結果を残せなかったことに対する地元ファンやメディアの批判の声で、それは久保への強烈な逆風となる。年が明けて、先発に名前を連ねられない時期が続くと、逆風はさらに強まっていった。それでも久保には、ネイティブレベルにあるスペイン語能力という、最大の武器を持っていた。

 10歳だった2011年8月にスペインへ渡り、バルセロナの下部組織に所属した3年7カ月もの日々で身につけたスペイン語は今も錆びついていない。スペイン人のビセンテ・モレーノ監督をはじめとする、マジョルカの首脳陣と密なコミュニケーションを取り続けたことで、プレーが整理された。

 中盤の右サイドで6試合ぶりに先発に復帰した2月21日のレアル・ベティス戦。利き足とは逆の右足で2つ目のゴールを決めた久保は、新型コロナウイルスによる中断期間をはさんで13試合続けて先発を果たし、残留争いを強いられているマジョルカで代役の利かない存在感を放ち始める。

 体幹の強化を含めて、中断期間中に効果的なトレーニングを積み重ねてきたからだろう。右サイドを拠点に繰り出されるドリブルは再開後に対戦したバルセロナ、レンタル元であるレアル・マドリード、そしてアトレチコ・マドリードといった強豪クラブの守備陣の脅威になった。

来季のベストのシナリオは?

 ラ・リーガ全体でドリブル回数だけでなく、ドリブル成功回数でバルセロナが誇るスーパースター、アルゼンチン代表のリオネル・メッシに次ぐ2位にランクされた時期もあるなど、いよいよポテンシャルを解き放ち始めた久保には、ヨーロッパ各国のクラブから熱い視線が注がれ始める。

 マジョルカとの契約は今シーズン終了とともに満了する。無念にも1試合を残して降格が決まったことで、来シーズンに久保が残留する選択肢もなくなった。そうした状況を見越していたからか、久保に興味を抱くクラブはラ・リーガ1部勢を含めて、実に30前後にのぼると報じられた。

 その中には、昨夏も獲得に動いたフランスの強豪パリ・サンジェルマンに加えて、イタリアのセリエAを代表する名門ACミランも含まれている。オフに入るとともに去就を巡る報道がさらにかまびすしさを増してきた状況下で、久保にとってベストの選択肢は何になるのか。

 最高のシナリオは、35試合に出場して4ゴール4アシストをマークしたマジョルカでのプレーを引っさげ、十分に武者修行を積んだという評価とともにレアル・マドリードへ復帰することだ。実際、中断期間中に応じたスペインメディアのインタビューで、久保はこんな言葉を残している。

「僕の夢ははっきりしています。白いユニフォームを着て(サンティアゴ・)ベルナベウでプレーするために今、マジョルカでいろいろなことを学んでいる。全ては自分次第ですけど、マドリードに居場所はあると思う。素晴らしい選手になって、マドリードで大きなことを成し遂げたい」

 サンティアゴ・ベルナベウとはレアル・マドリードの本拠地のこと。ただ、3シーズンぶり34度目の優勝を果たした最強軍団に居場所を築く上で、前述したEU外枠がハードルとして存在する。新シーズンも同じ顔ぶれに3枠が行使されるとみられる一方で、さまざまな報道も飛び交っている。

 例えば加入して2シーズンを終えたヴィニシウスが、スペイン国籍を取得する準備を整えたこと。実現すればEU外枠に空きが生まれるし、満足できる出場機会を得られなかったロドリゴが他のクラブへ期限付き移籍するという報道も、久保の復帰に対しては追い風となるだろう。

 ただ、ロドリゴがなかなかラ・リーガ1部のピッチに立てず、今年に入ってからはレアル・マドリード・カスティージャでプレーした状況は、久保が来シーズンに復帰した場合も十分に考えられる。

 ジネディーヌ・ジダン監督が採用する[4-3-3]システムで考えたとき、久保がプレーするのは前線の「3」の右か、あるいは逆三角形型で組まれる中盤の「3」の前方となるインサイドハーフとなる。

 前者には故障で不本意なシーズンを送ったベルギー代表のエデン・アザールが、満を持して復活を懸けたシーズンに臨むだろう。後者は、レアル・マドリードやラ・リーガのみならず、ヨーロッパ全体でも最激戦区となると言っていいほど、世界各国から精鋭たちが集ってきている。

レアル・マドリードは久保を離さない

 超のつくほど分厚い選手層へ、日本人選手が風穴を開ける挑戦を見てみたい。ただ、19歳になったばかりの久保の将来を考えたとき、マジョルカで刻んだ軌跡がそうであったように、今はできるだけ多くのプレー時間をピッチで積み重ね、手応えや課題を自身にフィードバックする作業が不可欠となる。

 ならば、ベストのシナリオはマジョルカよりレベルが上がるクラブで、さらなる武者修行を積むことになる。違約金を他のクラブが手を出せない2億5000万ユーロ(約308億円)に設定していることからも、マジョルカで無限の可能性を示した久保を手放す意思はレアル・マドリードにはない。

 将来の復帰を考えれば言葉の壁が存在しない同じラ・リーガ1部勢で、ヨーロッパの大会にも出場できるクラブがベストとなる。2019-20シーズンで6位に入り、来シーズンのUEFAヨーロッパリーグへの挑戦権を手にしたレアル・ソシエダは、新たな期限付き移籍先候補として早い段階から名前があげられてきた。

 さらに最近になってレアル・ソシエダより上の4位に入り、最高峰の戦いとなるUEFAチャンピオンズリーグへ出場できる強豪セビージャが急浮上したとも報じられている。いずれにしても、短いオフで再開後の過密日程で蓄積した疲労を取り除いた久保が、新シーズンへの英気を養ってから全てが始まるだろう。

 EU外枠という自力ではどうにもできない壁を前にして、それでも「全ては自分次第」と覚悟と決意を新たにしている久保は、どの道に進んでも、日本でプレーしていた時から思い描く「ひと言で表現すれば『すごい選手』になりたい」という夢を成就させる道を突っ走っていく。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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July 28, 2020 at 04:00AM
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