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政治もファッションも! より良い社会をつくるリアルな戦略。【北欧サステナライフ研究 vol.5】 - VOGUE JAPAN

【GREEN】欧州都市が切望する、グリーンな街に贈られる賞とは?

ノルウェーの首都オスロでは農業を自治体が支援。市民が農家となり、ニワトリを飼育し、野菜や花を育てる。幼稚園の子どもたちも遊びまわる都会の癒しスポットには、王室メンバー、大臣らも視察に訪れる。Photo: Asaki Abumi

国レベルで政策を動かすには、まずは自治体が模範となるのが良い戦略だ。「欧州グリーン首都賞」は、EUの欧州委員会環境局が、サステナブルな街づくりの手本となる都市に贈る環境分野の自治体賞。ヨーロッパ全土の自治体がその栄誉に輝きたいと切望しているホットな賞でもある。

ゴミ処理、気候変動対策、大気や水質、交通手段、騒音、自然と生物の多様性、自治体の環境管理などの指標が評価対象となり、初年度2010年に受賞したのはスウェーデン・ストックホルム、14年はデンマーク・コペンハーゲン、19年はノルウェー・オスロと、北欧各都市も常連だ。

フィヨルドで海水浴をする人々。これはオスロの中心部の光景だ。首都でも自然にすぐにアクセスできることが、市民の幸福度にもつながるとされる。Photo: Asaki Abumi

19年に受賞したオスロは、電気自動車(EV)普及のための補助政策、車を減らす中心部でのカーフリー対策、二酸化炭素を数値化した世界初の気候予算の実施などに取り組む。1年を通して550以上のエコな催しが開催され、オスロ流の解決策を各国に披露。30年までには排出量を95%減らし、ゼロエミッション都市となることを掲げている。

オスロ市議会は道路脇の駐車スペースなどを減らし、市民の憩いの場や自転車道を増やしている。Photo: Asaki Abumi

【FEMTECH】北欧から広がる生理用品の多様性と変革。

100% オーガニックにこだわるデンマーク Ginger 社のナプキンやタンポンは紙包装が主流。Photo: Asaki Abumi

北欧の生理用品のデザインは多様性に富んでいる。女性の経済的負担を減らすために、生理用品を課税対象外にするかどうかも、北欧各国のトピックとして頻繁に話題に上る。包装にエコな北欧デザインが反映され、堆肥化可能なプラスチックや紙製が増加中。

カップは柔らかく、手で折ってから挿入する。ピンク色がスウェーデン製、ほかがフィンランド製。Photo: Asaki Abumi

そして今、ナプキンやタンポンの次に続く代替品として話題なのが月経カップだ。膣内に装着し、最高12時間使用でき、一度購入すれば何年も使用可能。日常生活が過ごしやすくなるだけではなく、プラスチックを使用せず(シリコン製)、ゴミも出ないことから、エコ意識の高い若者たちから支持を集めている。北欧各国はその製造&市場でも多くのシェアを占め、フィンランドのLunette社、スウェーデンのMenstrualCup社、デンマークのOrganiCup社、ノルウェーのCleanCup社などの製品は世界的にも有名だ。フィンランドで特に普及している理由は、裸や水着で入るサウナがフィンランド国民の最高の娯楽だから!

【POLITICS】史上最年少の女性首相が率いるフィンランド政権。

〈左から〉左翼同盟党首のアンデション教育相(1987年生まれ)、緑の党党首のオヒサロ内務相(85年生まれ)、マリーン首相(85年生まれ)、中央党党首のクルムニ副首相兼財務相(87年生まれ)。Photo: Getty Images

昨年末、フィンランド新首相にサンナ・マリーン社会民主党党首(34)が就任した。現職で世界最年少の首相となり、連立政権を組む5党の“顔”は全員女性。そのうち4人が30代だ。内閣の構成も女性が12人、男性は7人!若い女性中心の新政権は世界中で大きく報道された。米国のトランプ大統領、英国のジョンソン首相など、個性的な年配男性リーダーが世界を騒がすなか、女性の指導者ばかりの写真は他国にとって仰天の図だ。女性閣僚の姿を見慣れてきた北欧他国も、若い女性首相の誕生に揺れた。

母親は女性パートナーと暮らし、同性カップルに育てられたというマリーン首相の生い立ちも注目を浴びる。フィンランドに「ガラスの天井はないのか」と他国が不思議がるなか、「自分の年齢や性別について考えたことはない」と、就任記者会見での本人はいたって冷静だ。サステナブルな未来の実現には、政治の中枢においても女性や若者の声は欠かせない。フィンランドの今後に注目したい。

【FASHION】環境負荷を抑えた北欧流エシカル・ファッションの今。

市庁舎で開かれた古着交換会。Photo: Asaki Abumi

格安セールが続く時期、ノルウェー・オスロ市長らが古着交換会を開催。ノーベル平和賞の授賞式会場でもある市庁舎が会場となった。同国のFjong社はドレスシェアビジネスで注目を浴びる。着用頻度の低いドレスを個人から同社が預かりレンタルする。売り上げは同社とドレス所有者で50:50。女性社長や政治家がレンタルしたドレスを着用した写真をSNSにアップすることがトレンドに。

厳しい審査をクリアしたブランドのみが参加を許された。Photo: Asaki Abumi

ショー会場にはソーラーパネル、外壁には光合成をして空気を浄化する藻類のバイオカーテンを設置。Photo: Asaki Abumi

フィンランドでは、サステナブルな「ヘルシンキ・ファッションウィーク」が世界中で話題に。レザーやファーを使用するブランドの参加を一切禁じたことが世界初ともいわれ、労働者の権利やマイクロプラスチック問題など、業界の課題を話し合うセミナーなども開催。プラスチックのペットボトルをできるだけ買わないようにと、政府が給水スポットを提供したり、環境負荷を抑える取り組みが徹底された。他国や自治体にも参考にしてもらいたいと、人にも環境にも優しい会場づくりの模索を続けている。

【BIKE】自転車人口へのアピールは、政治家の腕の見せどころ!

自転車通勤・通学が主流のデンマークでは、国政選挙中、自転車で走る市民が赤信号で止まると、各党の政治家が数分で政策をアピールする光景も。Photo: Asaki Abumi

北欧各国の首都や都市を中心に、自転車道の整備が加速化している。乗り物やそれにまつわる諸制度やトピックは選挙のたびに話題となる。CO2排出量を減らすためにも、車以外の移動手段を提供するのが政治家の責任だからだ。自転車先進国として知られるデンマークの首都コペンハーゲンでは、市民の40%が自転車で通勤・通学中!子どもや荷物を載せる運搬用カーゴバイクの数も多く、おしゃれな自転車も多い。

「ホーブディング」社のエアバッグヘルメット。Photo: Courtesy of Hövding

さて、安全のためにはヘルメットを着用したほうがいいが、「重くて、ださいな」と思ったことはないだろうか? スウェーデンのメーカーは、「目に見えない」ヘルメット「Hövding」を開発。マフラーのように首に巻くスタイルで、自転車ライフがもっと楽しく・おしゃれになる、これぞ北欧デザイン。ノルウェーでは坂が多いため、自治体が「電動」自転車を購入する個人や企業に補助金を出す制度を実施。「自転車先進国」の肩書を目標に、各国の競争は続く。

【FOOD】市民の冷蔵庫にも変化の波。ミルクや肉が植物性に。

Naturli' 社はデンマーク発祥の植物性の食品を提供する企業だ。Photo: Asaki Abumi

サステナブルな社会の実現のためには、冷蔵庫やスーパーの棚に変化が起こることも必須だ。商品の製造過程のCO2排出量を減らすため、健康のため、食物アレルギー対策など、さまざまな理由から、植物性の食材が注目を集めている。北欧各国のカフェや食卓では、牛乳以外のアーモンドミルク、豆乳などの登場頻度が増加。スウェーデンの「Oatly」社はオーツミルクのブランドとして定番となり、気候変動対策を気にする消費者の心をわしづかみにする大胆なマーケティングも話題だ。

ヘルシンキのスーパーで販売されるキムチ入りお弁当。そぼろ肉に見えるものがオート麦の肉。Photo: Asaki Abumi

肉に関しても、動物性に加えて、植物性の選択肢がぐっと増えてきた。また、状況に応じて肉や魚も食べるが、普段は基本的にベジタリアン指向という、柔軟な食生活をする「フレキシタリアン」の割合も増加中。無料給食が実施されているフィンランドの学校では、ベジタリアン・メニューに加えて、最近では、ヴィーガンのメニューもオプションとして選べるようになってきたというから驚きだ。

フィンランドの高校の食堂で一緒にランチをする先生と生徒たち。おかわりも自由。Photo: Asaki Abumi

Text: Asaki Abumi Editor: : Yaka Matsumoto

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April 17, 2020 at 10:09AM
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