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「良い人」の映画 - 佐賀新聞

 おとぎ話は教訓に満ちている。「カチカチ山」も「猿蟹(かに)合戦」も、ウソをついたり、人をだましたりすると、罰が当たってひどい目に遭う。不思議なのは「浦島太郎」だった。亀を助けて良いことをしたのに、最後はおじいさんになってしまう◆母親は教えてくれた。竜宮城でもてなしを受けた感謝を忘れ、もっといいお礼の品が入っていないかと太郎は玉手箱を開けてしまった。「良いことをしたと思ったときほど、良い人間でいることが難しい」と。亡くなった映画監督大林宣彦さんの思い出である◆自身、「良い人間」であろうとした映画人生ではなかったか。1977(昭和52)年の商業映画デビュー作「ハウス」は邦画の観客離れが深刻な時代に、「ジョーズ」のような恐怖映画を、と頼まれCM界から転身。撮影所の下積み経験のない映像作家は映画を自由なものにした◆唐津を舞台にした「花筐(はながたみ)」など、晩年は地方色豊かな作品を撮り続けた。土地の記憶をとどめたフィルムに人びとは愛着を深める。近年、映画の興行収入が右肩上がりを続けてきた背景には、映画を身近にしてきた「良い人間」たちがいる◆私的な思い出だが、「ハウス」は確か、夏祭りの神社の境内で観た。カタカタと音をたてて映像が闇に浮かぶ。おとぎ話のような大林映画のオープニングにも似た光景だった。(桑)

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