ベスト8で敗退となった日ノ本学園 [写真]=吉田孝光
第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は6日、兵庫県三木市で準々決勝の4試合が行われた。
ともに高校女子選手権優勝経験がある、実力校同士の日ノ本学園高校(関西1/兵庫)と藤枝順心高校(東海2/静岡)の試合は、0-0(PK4-3)で僅差をものにした順心が準決勝に勝ち進んだ。
「今季の日ノ本は点が取れないと言われているから、うちと似たところがある」と順心の多々良和之監督は見ていたが、それが現実となり、スコアは動かないまま前後半を終えた。
PK戦となると、日ノ本は全国大会で抜群の勝率を誇る。過去の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)と高校女子選手権で、日ノ本は計9回のPK戦を経験してきたが、その勝率は100パーセント。すべてで勝ってきた。
日ノ本のキャプテン渡邊那奈は、「日ノ本のGKは上手なので勝てる自信もあった」と話したが、1人目の上田佳奈が蹴ったボールは順心GK松井里央がセーブ。3人目の與那覇璃音が蹴ったボールはゴール右上に外れていった。
日ノ本の田邊友恵監督は、「1本目はコースを読まれていた。PKは自信のある選手に蹴らせるが、読まれていたので(コースを)変えざるを得なくて、3人目が外した形」と、2回戦の十文字高校(関東5/東京)戦でPK戦を経験したことが、裏目に出たことを悔やんだ。
インターハイでは準優勝の成績を残しながら、高校女子選手権ではベスト8で姿を消すことになった田邊監督は、「ずっと課題にしていた点を取るところが足りなかった。それに尽きる」と渋い表情。日ノ本のシュートは80分間でわずか2本で、前半の40分間に至っては1本も打つことができなかった。
「普段から(得点することを)求めきれていなかった。全国大会で強いボールを蹴ることができる相手を見て、選手たちは気付いたと思うが、それでもなんとか点が取れて、なんだかんだPK戦でも勝ってきた。仕留める選手になる、そういう選手を作るという部分が足りてなかった」と自責の念に駆られていた。
ただ、それは今季の順心も同様で、この日の順心のシュート数は3。ビッグチャンスは63分に金子麻優が放ったシュートくらいだった。その中で順心は、「自分たちの弱点を知りながら失点しないチームを心がけてきた。1-0で勝てるチームを作ってきたつもり」と多々良監督。強烈な決定力を持つ選手を育てる難しさは、どのチームも感じているようだ。
PK不敗神話が崩れた日ノ本の田邊監督も、「それ(得点)を個人技で補っていた時代があって、個人技を持つ選手が集まらなかったり、いなかったりした時には組織でやってきたつもりだが、結局最後は組織じゃなくて個。組織の中で生きる個をいかに生み出すかは、日本全体の今後の課題かもしれませんね」と、つぶやくように話した。
文=馬見新拓郎
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January 07, 2020 at 08:04AM
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