「ナショナル ジオグラフィック」と聞いて、最初に「写真」を思い浮かべる人は少なくないだろう。
最も高い山、最も深い海、ジャングル、砂漠、大都会から最も人里離れた辺境まで、ナショナル ジオグラフィックは130年にわたって、地球のあらゆる所を紹介してきた。
2010年から昨年末までの10年間だけでも、ナショジオの写真家たちが雑誌とウェブサイトのために撮影した写真は2161万3329枚を数える。驚きの数字だ。そんな中から、この10年を代表する「ベスト」や「お気に入り」の写真を選ぼうなんて、ちょっと気が遠くなってしまう。
それでも私(スーザン・ゴールドバーグ、英語版編集長)と編集部のメンバーは、15点の写真と動画を選び出した。米国を象徴する風景の中でバイソンを食べるクマ、絶滅が危ぶまれるセンザンコウの母子、移植を待つ死亡女性の顔、幼くして花嫁にされるイエメンの少女、そして、9歳のトランスジェンダーの少女はまっすぐな視線を私たちに投げかける。
ベスト写真に「正しい答え」などない。あなたには、あなたのベスト写真があるだろう。それはきっと、あなたの心に響き、世界をより良くしたいという意識を呼び起こさせた写真にちがいない。
みなさん、ナショナル ジオグラフィックを愛読してくれて、ありがとう。
バイソンをむさぼるグリズリー(米国)
2014年に米国ワイオミング州を取材で訪れた写真家チャーリー・ハミルトン・ジェームズ氏は、この地域の動物の生活に魅せられ、ついには一時的にではあるが家族で移住してしまった。
同氏は国立公園局と協力し、グランド・ティートン国立公園にある動物の死骸置き場にカメラトラップを設置した。ここは車にはねられて死んだ動物を捨てる場所で、観光ルートから離れており、動物たちの自然な行動を見ることができる。こうして撮れたのが、オスのグリズリーが、バイソンの死骸に群がるワタリガラスを追い払うこの写真だ。(参考記事:「決定的瞬間、こうして撮った――写真家が語る」)
「これが、カメラトラップの一番好きな点です」とナショナル ジオグラフィックの写真副編集長キャシー・モラン氏は語る。「舞台を整えるだけ。そこで何が演じられるのかに、写真家がいっさい関与しないことです」
(Video by Anand A. Varma)
ハチドリが蜜を飲む驚きの瞬間(米国)
え? ハチドリの餌入れを作るのですか? 写真家アーナンド・バルマ氏の奇妙な注文に、地元の科学用ガラス器具製造会社は驚いた。
バルマ氏が依頼したのは、カメラを取り付けられるようにした小さな透明の容器。2017年7月号の特集のために、ハチドリが開口部から蜜を吸い、小さな舌を必死に動かす様子をとらえたいと考えていた。(参考記事:「2017年7月号 ハチドリ 究極の飛翔術」)
「この撮影で最も難しかったのは、その容器にハチドリのくちばしを入れさせることでした」と同氏は話す。ちなみにハチドリは、この撮影でけがをすることはなく、動揺しているようにも見えなかった。
伝説的な登攀を命がけで撮影(米国)
アレックス・ホノルド氏が、ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンで、有名なフリーソロ登攀(岩壁を単独でロープを使わずに登ること)を成し遂げる10年前から、写真家ジミー・チン氏は、よく一緒にクライミングをしていた。
2017年6月、チン氏はホノルド氏の登攀を記録するナショナル ジオグラフィックの映画『フリーソロ』チームの一員として、地上760メートルにいる友人が最終ピッチを切り抜ける瞬間を撮影するのに全神経を注いだ。「この瞬間ほど、命をかけたことはなかったでしょう」とチン氏は語る。「不可能なこと、崇高なことを達成したのです。まさに完璧でした」(参考記事:「ロープなしで900mの絶壁を初登攀、米ヨセミテ」)
移植を待つ顔面(米国)
手術室のテーブルに慎重に置かれた人間の顔面。医療スタッフと共に抱いたのは「敬意です」と、写真家リン・ジョンソン氏は振り返る。提供者から摘出された、移植される前の顔面は、生きているようだった。「アイデンティティーとは何かについて、疑問を投げかけていました」と同氏は話す。
同氏の友人である写真家マギー・スティーバー氏は、顔面移植を受けた女性ケイティー・スタブルフィールドの物語を2年以上記録してきた。ケイティーは18歳の時に銃で自殺を試み、顔を失った。別の若い女性が亡くなり、顔面移植が可能となった。スティーバー氏、ジョンソン氏、ライターのジョアンナ・コナーズ氏は、その過程を詳細に記録し、ナショナル ジオグラフィックの2018年9月号に掲載した。(参考記事:「顔を失った女性、顔面移植成功で再出発を誓う」)
手術は31時間にも及んだが、無事に成功した。ケイティーは、話す練習と顔の筋肉のリハビリを続けており、最近では、大学に進学したいと言っている。
路上で痛みに耐える妊婦(アフガニスタン)
写真家リンジー・アダリオ氏は長年、妊婦の死亡やアフガニスタン女性の問題を撮影してきたが、2010年12月号の取材中に遭遇したドラマは、その両方が絡み合ったものだった。(参考記事:「2010年12月号:アフガニスタン 女たちの反逆」)
取材陣はアフガニスタン北東部バダフシャーン州の路上で二人の女性と遭遇したが、うち一人が妊婦で、しかも陣痛が始まっていたのだ。付き添う男性もいなかった。夫は車が故障したため、別の車を探しに行っていた。アダリオ氏たちは、この一家を病院まで車で送り届け、彼女は無事に女の子を出産した。
次ページ:幼き花嫁や、絶滅が危ぶまれるセンザンコウの母子など、残り9点
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January 11, 2020 at 04:02AM
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