欧州観光情報サイト「ヨーロピアン・ベスト・デスティネーションズ」の人気投票「ヨーロッパ最高のクリスマスマーケット2019」で1位に選ばれた、エストニアの首都タリンのクリスマスマーケット。今注目されているこのマーケットと、この季節ならではのタリンの楽しみ方を、タリン在住4年目のライター、わたくしカルーシオン真梨亜がご紹介します。
(イラスト・あんじミサ、トップ写真はラエコヤ広場のクリスマスマーケット)
「ヨーロッパで一番早い」とも
「ヨーロッパ中で一番早く始まる」と言われているタリンのクリスマスマーケットは、今年も11月15日に始まりました。おとぎの国のような、絵本の中のような雰囲気を体験しようと、毎年大勢の観光客が訪れます。

ハムやサラミ、ソーセージ、ジャーキーなどの屋台
タリン旧市街の真ん中にあるラエコヤ広場の中心に、大きなクリスマスツリーが飾られ、それを取り囲むさまざまな屋台が登場します。この広場に初めてクリスマスツリーが置かれたのは1441年のことで、ヨーロッパで初めてのクリスマスツリーと言われています。手芸品、木工品、クリスマスオーナメントや、伝統的なクリスマス料理とクロッギ(ホットワイン)、カラフルなキャンディを所狭しと並べたものまであります。

キャンディの屋台は写真映えするだけでなく、子供の頃の気持ちを思い出して懐かしい
冬は日が落ちるのが早く一日のほとんどが暗いタリンですが、世界各地から訪れた人たちとともにこの広場の温かい雰囲気に包まれるのは夢物語のようです。
コンサートやイベントを行うステージの横にはサンタクロースの小屋もできます。ここにはサンタクロースに会おうと、毎年多くの家族が列を作ります。歌や詩を読むとサンタさんからキャンディをもらえます。エストニアの子供たちは詩を暗唱できる子が多いんですよ! サンタさんと一緒に記念の写真を撮ってもらいましょう!

サンタクロースの小屋(右)。この日は、サンタさんは留守のようでした
エストニアの典型的なクリスマス料理といえば、黒い血合いソーセージとザワークラウト。これらを食べられる屋台も登場します。

エストニアのクリスマス料理を出す屋台。ヘラジカソーセージ、シャシュリクソーセージ、黒いソーセージ、豚足のポークナックル(各10ユーロ)、じっくり焼いた鴨肉(12ユーロ)など
プレゼント探しに 手工芸品店「カールマン・カシトー」

手工芸品店「KAARMANN KÄSITÖÖ」(カールマン・カシトー)
旧市庁舎のすぐそばに2019年12月1日にオープンした手工芸品店「KAARMANN KÄSITÖÖ」(カールマン・カシトー)も見逃せません。衣類やモダンなデザインの日用品があり、クリスマスプレゼント探しに役立ちそうです。

uBentの商品も発見!
以前、<エストニアのインテリアはミニマム機能と上質さ志向 現地フェアでチェック>で紹介した「uBent」の商品も売られていました。

「自分で編める手編みミトンのセット」は手芸好きな方へのプレゼントとしておすすめです
筆者がエストニアに来た方におすすめしたい、おいしいお菓子があります。こちらは旧市街内のスーパーRimiやMaximaといった小型スーパーで見つけたらラッキー。ラトビア産の黒パンスナック。エストニア人にも大人気の一度食べたらやみつきになるお菓子です。
ビールのおつまみにも最適。エストニアの地ビールを買って帰り、ホテルでおつまみにしてもいいですね。
タリン旧市街への入り口となるヴィル門の近くには、お花屋さんも並んでいます。軒を連ねる花屋には、様々なデザインのクリスマスリースが売り出されています。観光客向けと思われがちですが、街中よりも安くお花が手に入るお店も多いですよ!

タリン旧市街への入り口にある「ヴィル門」は待ち合わせ場所として最適

軒を連ねるお花屋さん。25分間旧市街を周遊するシティートレインは子ども(12歳まで)5ユーロ、大人7ユーロ
モダンな料理の「カエラヤーン」 内装とトイレは必見
ラエコヤ広場の屋台巡りもいいですが、こちらの「カエラヤーン」はモダンエストニア料理が食べられる筆者のおすすめレストランです。中世の建物がいい状態で残されている歴史的な場所タリン。ユネスコの世界遺産にも登録されている歴史地区は非常に人気があり、レストランの移り変わりも激しい街ですが、ここは2020年2月でオープンして12年になる、モダンエストニア料理のパイオニアといってよい店です。カエラヤーンとは、エストニアの民族舞踊のスタイルの一つ。男女が組になり、グループになり、飛び跳ね、手拍子をしながらの元気な踊りです。

モダンなエストニア料理店「カエラヤーン」は、ラエコヤ広場の特設ステージすぐ横です
このレストランは内装が可愛らしく、エストニアの伝統的なモチーフが現代的にアレンジされて天井に描かれています。ホールの隅に置かれている存在感のあるランプがカーディガンとミトンをまとっていたり、暖炉用の薪が積まれていたりと、まるで自宅にいるような温かい雰囲気をつくり出すように工夫されています。もちろん、地元のエストニア人にも人気は高く、クリスマス期間は誕生会や親族の集まり、会社のイベントにもよく使われます。何度も訪れる方が料理に飽きないよう、年に2回メニューを新しくしているそうです。

エストニアの伝統的モチーフがあしらわれた「カエラヤーン」の店内
インテリアも魅力的ですが、レストランの方が一番見て欲しいポイントはなんとトイレ。もともと煙突として使われていた場所を改装したそうです。上を見上げるとその名残を見ることができます。

(左)トイレの中(右)トイレの中で上を見上げると……
建物の内装はモダンに造りかえられていますが、1670年から残る壁がレストランの中の階段を上がる途中にそのまま残されています。

カエラヤーンからラエコヤ広場を望む
クリスマス限定メニューを堪能
今年のクリスマス限定メニュー(29ユーロ)をご紹介します。
まずはパンプキンとハーブオイルのクリームスープ、ミルクフォームとローストパンプキンシードのせ。

パンプキンクリームスープハーブオイル
エストニアの国旗の色を表現した白(ミルクフォーム)、黒(オリーブチップス)、青(食用ヤグルマギク)は見た目にも可愛らしいです。食材は地元の農家などから取り寄せています。

血合いソーセージ
メインは豚のすね肉と手作り血合いソーセージのどちらかを選べます。エストニアのクリスマスシーズンに訪れたなら、ぜひ血合いのソーセージを選んでください。これは甘酸っぱいリンゴンベリーソースと食べるのがマストです。臭みはないので、レバーやモツ系が苦手な筆者にもとても食べやすかったです。裏メニューとして、動物由来の材料を使わないベジタリアン向けのソーセージもあるそうです!

豚すね肉のメインディッシュ
豚すね肉はさっぱりしていて、マスタードと白ワインの甘みのあるソースが食欲をそそりました。
そしてデザート。地元のラズベリーのメレンゲケーキとクリスマスバニラソース、フレッシュベリー添え、それとジンジャーブレッドクランチです。

食後のコーヒーや紅茶によく合います
おいしい! オレンジの実もおいしさを引き立てます。進化を続けるカエラヤーンでクリスマスメニューを味わってみてはいかがでしょうか。

左からヘッドシェフのマリス・ティートレさん、オーナーのロマン・クスマさん、代表のアンネリ・クリーサさん
内装の繊細なレースアート 作者を訪ねてみた
カエラヤーンでもう一つ筆者の目をひいたものがあります。それは繊細なレースアート。エストニア人の男性リホ・トームラさんの作品だと、カエラヤーン代表のアンネリ・クリーサさんが教えてくれました。

リホ・トームラさんのレースアート(左)
アートギャラリーが並ぶルヒケヤルグ通りでトームラさんの作品展が開かれていたので、のぞいてみました。

作品展会場でお目にかかったリホ・トームラさん
トームラさんは、10代の頃おばあさんにレース編みを教わり、初めての作品が驚くほどよくできたため、暇ができるとレースアートを編んできたそうです。ひとつの作品を作るのに3~4カ月がかかるとのこと。息をのむほど繊細な彼の技術を是非間近で見ていただきたいです。「多くの方々にレースアートを楽しんでほしい」とトームラさんは話していました。
ジンジャーブレッドクッキーのアートは人気イベント

展示されているスフィンクス(ジンジャーブレッドマニア提供)
エストニアのクリスマスといったら忘れてならないのはジンジャーブレッドクッキーです。中世ではクッキーに使われるハチミツやスパイスがとても高価で、王族や貴族など、身分の高い人だけが食べられたそうです。今やクリスマスにヨーロッパ各地で食べられるお菓子としてなくてはならないジンジャーブレッドクッキー。それをアートにしてしまうというおもしろい展示会「ジンジャーブレッドマニア」もこの時期開かれます。

立ち止まって窓から様子をうかがう人も多い
今年のテーマは「神話」。エストニア国内外の陶芸家やデザイナー、建築家など約100人のアーティストによる遊び心あふれる作品を見ることができます。

ジンジャーブレッドクッキーが立体感あるアートを生み出せるとは(ジンジャーブレッドマニア提供)
主催者のマリ=リース・ラーネマーさんとペッレ・カルモさんにお話をうかがいました。
もともとは、アーティストとして活動していたマリ=リースさんが学生時代のアーティスト仲間を集めて開いていた展示会の、一つのアイディアでした。2006年に、1度きりのプロジェクトとして開催されたものの、非常に反響が大きかったため継続することにし、毎年多くのファンに支持されているそうです。
今やタリンのクリスマスの人気イベントです。

マリ=リース・ラーネマーさん(右)とペッレ・カルモさん
ジンジャーブレッドマニア
http://piparkoogimaania.ee/
2019年12月5日~2020年1月5日
11:00~18:00まで
(12月24日と12月31日は11:00~15:00、1月1日休館)
入場料 2ユーロ
PROFILE
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「あの街の素顔」ライター陣
こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希
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カルーシオン真梨亜
1985年千葉県生まれ。幼少の頃見ていた海外のホームドラマにあこがれ、バイリンガルな女性になりたい!海外暮らしをしたい!と夢見て単身オーストラリアの大学へ留学。卒業後、英語講師、空港国際線ターミナルでの案内業務を経験。2015年、エストニア人の夫と結婚してタリン在住。好奇心旺盛で、お祭りやイベントが大好き。
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December 20, 2019 at 09:42AM
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